2005年夏に環境省が呼びかけたことが始まりとされる、地球温暖化対策のため始まったクールビズもすっかり定着し、毎年5月1日から9月30日まで、摂氏28度以上の室温に対応できるよう上着やネクタイを着用しないなど軽装で過ごすことで、冷房の節約をすることも当たり前になってきましたが、先日この温度設定に科学的根拠がないことを導入当時に担当課長として関わっていた方が明らかにし、話題になりました。
さて、職場の温度については、何か法的な定めがあるのでしょうか。今回はますます暑くなるこれからのために詳しくみていきます。
労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則第5条第3項によると以下のように定められています。
上記第4条第1項には罰則があります。処罰される場合は、法人と代表者が6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金になります。
上記の例のように、事務所を労働者にとって快適で安全な場所にするために様々な定めがされています。そこで、医師が事務所の全ての衛生管理をするのは実務上、範囲が広すぎてとても大変なので、この衛生管理者を担う人を衛生管理者といい、事務所の指導員・リーダー的な立場で衛生管理を行います。
衛生管理者は、事務所を良い状態に保つために行動するのですが、その時の基準になるのが事務所衛生基準規則です。一定規模以上の事務所は衛生管理者、衛生委員会の設置、産業医の選任義務があります。義務を果たさなければ、罰則がありますので注意しましょう。
この衛生管理者は、衛生管理者免許等の資格を有する者の中から選任しなければならず、常時使用する労働者数が50人以上200人以下の場合は、衛生管理者は1人以上、200人を超え500人以下では衛生管理者は2人以上、以降、500人を超えると3人、1000人を超えると4人、2000人を超えると5人、3000人を超えると6人以上の衛生管理者を選任しなければなりません。
屋内での熱中症も年々増加しており、その場で症状が出なくても帰宅後に具合が悪くなることもあります。職場での事故を未然に防ぐためにも、日頃からの対策に力を入れる必要があります。事務所衛生基準規則は、難しく考える必要はなく当たり前のことを当たり前にしていれば問題なくクリアできることばかりです。中には人数や回数などが定められているものもあり、罰則が定められているものもありますので、注意が必要です。まずは、社内の点検体制を再確認してみましょう。