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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第89号 平成29年11月1日

未払い残業代を請求されケースが増えています。

写真をご覧ください。近時、弁護士事務所が未払い残業代の請求を勧める広告が急増しています。背景には、弁護事務所の経営上の理由が大きいと思われます。以前は過払い金請求事案での業務が弁護士に多くありましたが、それも一段落し今後は未払い残業代の請求事案で売り上げを立てていこうと考えているようです。ネットで「未払い残業代」と検索すると弁護士事務所の広告がたくさん表示されます。また、未払い残業代につきましては、請求金額の計算も定型的に行えるというのも請求が増えている要因と考えられます。 事業主としても、対応を検討する必要に迫られていると思います。今一度、写真をご覧ください。東京のハローワークの目の前に出されている広告です。つまり、退職者に対して未払い残業代の請求をすすめているということになります。うちの従業員に限って、未払い残業代なんか請求しないとお思いの事業主様も多いと思います。しかし、退職後までそう言い切れますか? まず、確認したいのがそもそも労働時間と認められうる行為とは何かといことになると思います。たとえば、次のようなものが考えられます。

  • 制服へ着替える時間
     →業務に必要な制服に着替えることは業務との関連性が高いことからほぼ労働時間となると思います。
  • 始業時刻前の朝礼、体操等の時間
     →一人だけ参加しない(椅子に座っている)ということはできないという雰囲気かと思いますので労働時間となる可能性は高いと思います。
  • トラブル対応のための待機で自由に過ごしている時間
     →何かあれば対応しなければならないとい状況や、場所的拘束があれば労働時間となる可能性が高いと思います。
  • だらだら残業時間
     →使用者が積極的にだらだら残業をなくす措置を講じていないのであれば、労働時間となる可能性が高いと思います。
  • 労働時間の端数処理
     →切り捨ては認められません。1分単位につけるか、切上げが基本となります。
  • 時間外に社内で勉強している時間
     →勉強の内容が業務に関連するのもので、使用者が黙認しているようであれば、労働時間となる可能性があります。

そこで、事業所様としては、業務の見直しや勤怠管理のルールの策定、運用や残業代を固定(定額)払いする対応を検討することになりますのでご相談ください。なお、残業代を固定(定額)で支払う制度はその要件が近時厳しくなっておりますので、すでに制度導入の事業所でもそのメンテナンスが必要となっております。

固定(定額)残業手当制を採用されている事業所様はご確認ください。
一定の時間外労働時間数の割増賃金を定額の手当として事前に支払うという賃金体系を採用されている事業所様も多いかと思います。
これについての雇用契約書や就業規則での明示方法は様々で例えば、

  • 時間数のみを明示している
  • 金額のみを明示している

という事業所様も多いと思われます。
しかし、近年、訴訟等の争いとなった場合に、雇用契約書や就業規則等の明示のしかたによってはこの固定残業手当が認められない(まったく払っていない)とされるケースも増えています。
そんな中、職業安定法が改正され(平成30年1月1日施行)、求人票等の募集広告における明示内容についての指針が出されました。それが雇用契約書や就業規則等における当該記載内容の参考になると思いますのでご紹介いたします。

  • ①固定残業手当を除いた基本給の額
  • ②固定残業手当の額
  • ③固定残業手当に含まれる時間数
  • ④当該時間数を超えて時間外労働等があった場合に割増賃金を追加支給する旨

一度、現状の雇用契約書、就業規則等をご確認いただき、ご不明点等ございましたらご連絡ください。

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