[相談内容]
当社は昨年、知人の会社から頼まれて300万円を貸し付け、今月末までに一括で返済して貰う約束になっていました。ところが、今月になり借主から、資金繰りが苦しいため毎月30万円ずつ10回に分けて支払うので、契約書を作り直してほしいと要望してきました。今回は応じようと思うのですが、どのような点に注意したらいいでしょうか?
[回答]
その場合に検討するべきなのが、借主の将来の売掛金債権にまとめて担保を設定する方法です。これは集合債権譲渡担保と呼ばれる方法です。具体的には借主が取引先に将来取得する売掛金債権をまとめて貸主に担保のために譲渡する約束をします。ただし、貸金が通常とおりに返済されている限りは、売掛金の取り立ては貸主に代わって借主が行います。そして、貸金の支払いが滞り借主が期限の利益を喪失した場合、貸主が自ら売掛金を回収して、貸金債務に充当します。
譲渡担保を売掛先に主張するためには、借主から売掛先に対し債権譲渡をした旨の通知をしなければならないのですが、この通知を譲渡担保契約時にすると借主の売掛先に対する信用が低下して不都合です。そこで、あらかじめ貸主が借主から押印済の債権譲渡通知書を預かっておき、期限の利益喪失時に、貸主が借主に代わって売掛先に通知書を送付するという方法が用いられます。しかし、この方法は他の債権者が先に売掛金を差し押さえた場合に譲渡担保の効力を主張できないという問題があります。
そこで借主が法人である場合に限られますが、債権譲渡登記の制度を利用するのが望ましいです。債権譲渡登記は売掛先に知らせずにすることが可能で、期限の利益喪失時には、登記事項証明書を売掛先に送付して通知することにより、売掛金の回収を行うことができます。また登記をすることで第三者にも譲渡担保の効力を主張できます。