今月の給与計算が終わると、労働保険の年度更新集計が可能になる事業所も多いことかと思います。給与が翌払いで締日を基に集計する事業所については、来月の給与計算が終わると集計が始めることができるようになります。
今回は年度更新集計を給与ソフトからのデータを基にする場合の注意点等を中心に、年度更新業務をスムーズかつ間違いなく進めるためにできることを考えてみます。
どの給与ソフトでも「労働保険料集計資料」や「労働保険料算定基礎賃金集計表」といった名称での集計項目があります。基本的にはこの集計で、ほとんどが問題なく集計できるのですが、下記ケースの場合は、うまく集計ができず、実際の賃金額からはズレが生じる可能性が高いため、必ず確認が必要となります。
上記①~④のケースに共通しているのが、給与ソフトの労働保険料集計は、現在の雇用保険加入状況により集計してしまうということです。給与担当であれば、上記のような事項については、把握できているかと思いますので、該当の方をご確認ください。
また、給与ソフトにおける支給項目マスタ設定がうまくできていないと、各月の労働保険料がうまく集計されません。雇用保険加入者については、毎月の給与計算でも確認する機会があるため、集計にズレが生じる可能性は低いですが、雇用保険対象外の保険加入のない方については、確認する機会が少ないため、労働保険料の対象となる支給項目設定がうまくできていない可能性があります。下記にズレの生じやすい項目を列挙していますので、今一度ご確認ください。特に今年度に新たに追加した支給項目がある場合には要注意です。
(例)
【対象項目】・研修手当 ・皆勤手当 ・年末年始手当 ・早番遅番手当
【対象外項目】・出張実費 ・立替経費 ・慶弔金 ・解雇予告手当
上記のように、思いつくだけでも集計のズレが生じる可能性が高いです。正しい集計のためには、手間はかかりますが別途集計をすることをおすすめいたします。弊社にて給与計算をしているお客様についても、必ず毎月の賃金を確認し、別途集計をエクセル等にて作成し、確認をしています。
労働保険料については、多少のズレが生じていても、前年申告済の概算保険料と今年度の確定保険料にて調整されるため、しょうがないとそのままにされているケースもあるようです。数年に一度の頻度ですが、労働局の調査にあたり、その際に差額が生じていると、過去にさかのぼって再度、集計・調整・納付をする必要が生じる可能性もありますので、上記のような項目を再確認し、スムーズに労働保険の年度更新業務が進められるようにしていただければと思います。
詳細につきまして、ご不明点等ございましたら、ご連絡ください。