景気の低迷や雇用情勢の悪化が続き、事業縮小を余儀なくされ企業が増えています。そんな中、雇用調整助成金等をはじめ、再就職支援対策や雇用維持などについて改正を行い、平成21年2月6日施行されました。
今回は、「雇用調整」「派遣労働者」「フリーター・内定取消」に関する助成金をピックアップしました。
「工場の稼動時間を調整したい」「今の派遣さんを正社員にしたい」「内定を取り消された新卒を採用したい」等をお考えであれば、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
雇用保険に加入する中小企業事業主が、景気の変動、産業構造の変化等に伴う経済上の理由により、企業収益が悪化し、事業活動の縮小を余儀なくされ、休業及び教育訓練または出向を行った場合に、休業手当、賃金または出向労働者にかかる賃金負担額の一部を助成するもので、失業の予防を目的としています。主に大企業が多く利用していた「雇用調整助成金」の対象を、中小企業に限定し、より使い勝手を良くした制度として新設されました。
受給要件が平成21年2月6日に緩和されて、ますます利用しやすくなりました。
主な受給要件である「事業活動の縮小」とは、売上高または生産量のどちらかの最近3ヵ月の月平均値が、その直前3ヵ月又は前年同期に比べ5%減少している事です。受給を希望する場合は、事前にハローワークに計画書を届け出る必要があります。
受給できる額は、休業の場合、休業手当の4/5、教育訓練の場合は更に1人1日あたり6000円が上乗せされます。出向の場合は、出向元事業主の負担額の2/3が助成されます。
支給限度日数は3年間で300日(最初の1年間で200日を限度)ですが、連続した利用が可能です。
また、対象労働者毎に1時間以上行われる休業についても助成の対象となります。
新しく成立したこの奨励金は、派遣会社から派遣されている従業員を派遣先が一定期間経過後、派遣先の従業員として直接雇用する場合が対象となります。
この奨励金は、製造業務に限らず、派遣労働者を受け入れている他の業務も対象です。
いわゆる2009年問題に関連して派遣可能期間終了を契機に、雇用の需要があるにもかかわらず直接雇用をためらい、派遣労働者の雇用が失われるのを防止する為の時限措置として、平成21年2月6日から平成24年3月31日まで支給されるものです。
主な支給要件として次の通りです。
6ヶ月を超える期間継続して派遣を受け入れていた業務に、派遣労働者を無期または6ヶ月以上の有期(更新有に限る)で直接雇い入れる場合と、派遣期間が終了する前に派遣労働者を直接雇い入れる場合となります。ただし、派遣元事業主は派遣登録者の減少を余儀なくされますので、あらかじめ派遣元事業主との合意等が必要になります。
また、奨励金の支給額は、期間の定めの無い労働契約の場合{( )内は大企業が対象。}、受給合計額100万円(50万円)、6ヵ月経過後50万円(25万円)、1年6ヵ月経過後25万円(12.5万円)、2年6ヵ月後25万円(12.5万円)と分割支給され、6ヶ月以上の期間の定めのある労働契約の場合、受給合計額は50万円(25万円)、6ヵ月経過後30万円(15万円)、1年6ヵ月経過後10万円(5万円)、2年6ヵ月経過後10万円(5万円)が同じく分割支給されます。
この奨励金は、「年長フリーター及び30代後半の不安定就労者」又は「採用内定を取り消されて就職先が未定の学生等」を正規雇用する事業主が、一定期間ごとに引き続き正規雇用している場合に支給されます。
主な受給用件は、ハローワークへ対象となる求人を提出し、ハローワークからの紹介によって40歳未満のフリーターや内定取消者を正規雇用した場合です。また、年長フリーター等では、「雇入れ日前の1年間に雇用保険の一般被保険者でなかった者」等が対象要件に含まれます。
なお、「年長フリーター及び30代後半の不安定就労者(25歳以上40歳未満)」を正規雇用する場合には、(1)直接雇用型(ハローワークからの紹介により正規雇用する場合)(2)トライアル雇用活用型(トライアルとして雇入れ、トライアル終了後引き続き正規雇用する場合)(3)有期実習型訓練修了者雇用型の3種類があります。
この「正規雇用」とは、雇用期間の定めがなく、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度である労働契約を締結し、雇用保険の一般被保険者として雇用する事を示します。
対象者を雇用した場合の奨励金は、正規雇用後6ヵ月経過、1年6ヵ月経過、2年6ヶ月経過と3回にわけて支給され、中小企業の支給金額は合計100万円(大企業は50万円)となっています。