合同労働組合とは、企業内組合と異なり、産業別、業種別、職業別、地域別といった形で組織される労働組合で、組合員は原則的に個人単位で加入するものです。解雇に不満な中小企業の「元従業員」が駆け込み寺として合同労働組合に加入することがあり、使用者は、ある日突然、それまでまったく知らなかった合同労働組合から団体交渉の申し入れをされることがあります。
労働組合法7条4号は、「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」を不当労働行為として規定しています。「元従業員」といっても、労働者が解雇の無効を争っている場合には、使用者は、団体交渉に応ずる義務、誠実交渉をする義務が認められます。
団体交渉の申し入れには、合同労働組合が「日時・場所」を予め指定している場合がほとんどです。
しかし、使用者にも都合がありますので、この日時・場所で団体交渉を行わないと、団体交渉義務に違反するわけではありません。使用者又はその代理人は、合同労働組合との交渉をどのようなルールの下に実施するかをまず検討する必要があります。そのルールを組合に提示して、交渉の枠組みを作り、労務のプロである組合との交渉を対等に進めていくようにします。
次回は、具体的な交渉の進め方や問題の解決への見通しについて、述べることにします。