労働基準法では、産前・産後休業や妊娠中及び出産後の女性の危険有害業務の就業制限等といった母性保護が定められています。また、男女雇用機会均等法では妊娠中又は出産後の健康診査のための時間の確保や、妊娠中の症状等に対応するための措置が、事業主に義務付けられています。これらの措置等を「母性健康管理」といいます。
女性の社会進出が進むなかでも、現状として妊娠、出産を機に離職してしまう女性が多く見受けられます。優秀な人材確保をする為にも、女性が安心して、妊娠中そして出産後も働き続けることが出来る職場をつくり出す努力を事業主側はおこなっていく必要があります。
対象となる労働者の範囲は、パートタイム労働者、派遣労働者、機関雇用者や日々雇用される者等、就業形態を問いません。
事業主は、母性健康管理の措置を講じる義務があります。これを怠ると是正指導の対象となり、それに応じない場合は企業名公表の対象となってしまいますので、注意が必要です。
母性健康管理に関する措置を講ずるにあたり、就業規則等にあらかじめ具体的な取扱いや手続きについて規定しておくと良いでしょう。
規定すべき内容としては、妊娠中の健康診査受診時間の確保、時差通勤や勤務時間の時間短縮、産前・産後休業、育児時間の確保、子の看護休暇などがあげられます。
また、産前・産後休業の期間及びその後30日間の解雇は禁止されています。
産後6週間は強制的な休業となり、就業させてはいけないとされています。6週間を経過した後は、労働者本人が請求し、医師が認めた業務に就かせることは差し支えありません。
なお、産後休業の「出産」とは、妊娠4ヶ月以上の分娩をいい、「死産」や「流産」も含まれています。
母性健康管理に関する措置を講ずる為には、就業規則等の整備だけでなく、対象者以外の従業員の方々の理解が欠かせません。普段から母性健康管理に対する啓発活動を実施しておく必要があるでしょう。
被保険者やその被扶養者が出産したときに支給される一時金は、35万円となっていましたが、平成21年1月から産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産したときは、産科医療補償制度に係る費用が上乗せされ、38万円となっています。
産科医療補償制度とは・・・妊婦の皆様が安心してお産できるように、分娩機関が加入する制度であり、加入機関でお産すると、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった赤ちゃんとご家族の経済的負担が補償されます。