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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第41号 平成21年9月1日

改正労働基準法のポイント - 平成22年4月1日施行 -
法定割増賃金率の引き上げについて中小企業は3年間猶予されます

法定割増賃金率引き上げ

! 特別条項付きの36協定を締結している大企業は対応が必要

  1. 月60時間超の法定時間外労働に対して、50%以上の割増賃金支払義務

    今回の労働基準法の改正は「仕事と生活の調和」を意図したものです。正確な勤務時刻を管理し長時間労働の防止ができている企業は、時間外労働の割増賃金率引き上げについては、ほとんど影響はないと思われます。
    法定割増賃金率が問題になるのは、「特別条項」がある36協定を締結している場合です。
    限度基準通りの36協定を締結している企業は従来通りの取扱いとなります。
    ただし、特別条項のない36協定を締結していても、実態として限度基準を超えて時間外労働をさせている企業の場合は、現状でも労基法32条違反しなり、是正勧告の対象として、適切な36協定の締結と労基署への届出を指導されます。今後は月45時間以上の時間外労働は割増賃金額にも影響しますので、限度基準の内容に関し、従来以上の行政指導が行われることは予想されます。企業としては一層の36協定の遵守がもとめられるでしょう。
    改正により使用者は、月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者に対して現行の25%より高い50%以上の率の割増賃金を支払わなければなりません。(義務)
    また45時間を超60時間までは25%を超える割増率になるよう努めることが必要です。(努力義務 注:中小企業も対応要)よって、仮に特別延長時間が月76時間と協定した場合、36協定には「割増賃金率」として、例えば45時間まで25%、45時間超60時間まで30%、60時間超え76時間まで50%等と規定することが必要です。

  2. 割増賃金率を有給の休暇に振替え

    改正内容Ⅰでご説明した通り、1ヵ月60時間を超える時間外労働に対しては50%増しの割増賃金を支払わなければなりませんが、労使協定を締結した場合は、60時間を超える時間外労働に対する割増賃金のうち、今回新たに課せられた割増賃金の引上げ分については、休暇の付与によって引上げ分の支払いに代えることもできます。
    つまり、125%を超える部分である25%については、割増賃金として支給するか、それとも代替休暇を付与するかの選択ができるということです。
    代替付与の対象になるのは25%の部分ですから、60時間を4時間超えたときに積立てた賃金が1時間になります。つまり60時間を32時間超えたときに積立てた賃金が8時間になり、1日の休暇が取ることができることになります。
    代替休暇は1日または半日単位で与えることとされています。なお、代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法については代替休暇に関する労使協定に定めることが求められています。
    代替休暇を与えることができる時期は、時間外労働が1ヵ月について60時間を超えた当該1ヵ月の末日の翌日から2ヵ月以内とするとしており、この期間についても協定することが必要です。
<猶予される中小企業>
猶予される中小企業

年次有給休暇の時間数取得

!企業規模に関わらず導入できます

年次有給休暇の最低単位はこれまで原則として1日単位であり、労働者の請求に応じて半日単位で与えることは妨げないとされてきましたが、時間単位での付与は認められていませんでした。今回の改正により、年次有給休暇日数のうち5日を限度として時間単位での付与が可能になりました。

年次有給休暇を時間単位で与える場合は、時間単位で年次有給休暇を与える労働者の範囲、時間単位で与える年次有給休暇の日数を労使協定で協定しなければなりません。

時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の時間数及び例えば2時間など1時間以外の時間単位(分単位など時間未満の単位は不可)として時間単位年休を与えることとする場合には、その時間数を協定することが必要です。

時間単位年休は労働者のニーズは高いものの、企業側は相当程度事務が煩雑になること、時間管理意識が緩くなる恐れがあることなどの人事労務管理上の問題が考えらます。

混乱をさけるためには、各企業の実情に応じ、例えば工場は認めず、事務や営業職だけ認めるなどその対象の検討、取得方法、時季変更権のルールなど労使で十分検討することが必要かと思われます。

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