近年、企業の職場ではパワーハラスメント(以下、パワハラ)の発生事例が報告され、問題となっています。この流れを受けて、厚生労働省は10年ぶりに労災を認定する判断基準を改正し、パワーハラスメントが追加され、企業側にもその対策が求められております。
我々の実感としても、最近パワハラに関する相談が増えているように感じます。
そもそもパワハラについては法令で明確に定義されているわけではなく、また統一的な定義はありません。パワハラの命名者である㈱クオレ・シー・キューブの岡田康子さんによると、パワハラの定義は次のようになります。
「職権などのパワーを背景にして、本来業務の適正な範囲を超えて、継続的に、人格や尊厳を侵害する言動を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること」 つまり、一般的には職場の力関係を背景にした「いじめ」をパワハラとよびます。
ささいなミスをあげつらう、罵倒・侮辱・脅迫・嘲笑する、業務上必要な情報を意図的に与えない、実行不可能なノルマを強要する、意味がない仕事を与える、仕事をまったく与えない、暴力をふるうなど様々なケースがあります。
パワハラの問題は、従業員の人権侵害であることはもちろん、職場のモチベーションを低下させるなど企業活動に大きな影響を及ぼします。ところがパワハラに対する企業の対応はまだまだ不十分です。
職場の「いじめ」は昔からあったことだと思いましが、問題視されるようになったのは、厳しい経営環境のもとで職場のゆとりがなくなっていることや、上司自身にもノルマなどの重圧があることなどがその背景にあるように思います。
日本産業カウンセラー協会の調査によりますと、いじめやパワハラが起きた部署には「コミュニケーションが少なかった」「管理職の指導が欠如」などの特徴があるということです。原康長専務理事は「上司から部下だけでなく、同僚同士、部下から上司に対する突き上げなど、多方面でパワハラが生じている」と指摘しています。
いじめ・パワハラが起きた部署の兆候は、日本産業カウンセラー協会調べによると次の通りでした。
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