平成22年1月29日、政府は「少子化社会対策基本法」第7条の規定に基づく「大綱」として、「子ども・子育てビジョン」をまとめました。
その中で、「少子化対策」ではなく、「子ども・子育て支援」を第一に考え、「社会全体で子育てを支える」事を基本理念としています。
具体的には、認可保育園の定員増、放課後児童クラブの増設、育児休業取得率の上昇等を目指し、子育てと仕事のバランスをとれるような制度に転換し、少子化を食い止めることを目指しています。
政府は「子ども・子育てビジョン」に基づき、子どもを産み育てることに夢を持てる社会の実現のための施策を強力に推進していくとしています。
そのため、厚生労働省と文部科学省の縦割り行政を解消し、省庁の垣根を越えて子育てを推進する「子ども家庭省(仮称)」の設立が検討されています。
「子ども家庭省」は、省庁横断的な観点から、総合性と一貫性を確保し、子どもや子育てに係る施策間の整合性や連携を図る取り組みを進めるため、設置が望まれているものです。
これは、民主党のマニフェストにも掲げられていました。
この「子ども家庭省」は、世界的にみるとノルウェーで1991年に設置されています。(2005年に子ども平等省と名称が改められています)ノルウェーの子ども家庭省は複数の局から構成される政策実施・サービス提供機関となっており、各省庁を全体的に調整する機能を果たし、一元的・効率的な政策の立案・遂行が行われています。
今回、政府がまとめた「子ども・子育てビジョン」は、4つの柱となる政策と、12の主要施策からなりたち、平成26年度までに7000億円の追加費用を投じて、認可保育所の定員を26万人増、放課後児童クラブの定員30万人増、女性の第1子出産前後の継続就業率を現状の38%から55%へ上昇、といった数値目標を掲げています。
政府は、子どもにとって安全で安心な社会は、すべての人にとっても安全で安心な社会であり、キッズデザインの普及や、質の高い子どもの居場所づくりは、日本経済の活力にもなりえるとしています。
また、「子ども・子育て支援」を進めるために、「男女共同参画」「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」「子ども・若者育成支援」等のそれぞれの施策との密接な連携を図っていくことが必要であり、それが安定的で持続可能な経済社会の実現へとつながっていくともしています。
「子ども家庭省」の設置により、「子ども・子育てビジョン」が実現し、それによって安心して子育てができ、女性も職場を離れることなく子どもを持てる社会になり、社会問題となっている深刻な少子化に少しでも歯止めがかかることが望まれます。