労働トラブルは年々増加の一途をたどっており、経済状況の悪化により、さらにその勢いが増しています。そして、労働トラブルの傾向は、企業と労働組合による集団的労使紛争から、企業と個々の労働者との個別労働紛争の増加へと移っています。
個別労働関係紛争の解決を促進する法律(平成13年)、労働審判法(平成18年)、労働契約法(平成19年)は、このような状況を背景に制定されました。
また労働トラブルが起こった場合の相談先も複数存在します。
そこで、想定される労働トラブルに対する解決手段を3回にわたって整理し、解説いたします。
集団的労使紛争における解決手段の代表的なものは、各都道府県に設置されている労働委員会です。集団的労使紛争については、自社に労働組合がない場合でも、個人で加入できる社外の労働組合があるため、近年では、社外の労働組合から企業へ団体交渉の申込みが増えてきています。これは、形式的には集団的労使紛争ですが、実質的には個別労働紛争といえるでしょう。
一方、個別労働紛争の解決手段については、裁判所によるものと、行政機関によるもがあります。
裁判所による場合は、労働審判か民事訴訟になります。
行政機関による場合は、主に労働基準監督署による法律違反に対する指導・勧告と、都道府県労働局による指導・助言及びあっせんになります。行政機関によって解決しない場合は、民事訴訟ということになります。