労働安全衛生法第66条では事業者は、労働者に対し労働省令で定めるところにより、医師の健康診断を行わなければならないと定められております。
【定期健康診断】労働安全衛生規則第44条では、事業者は「常時使用する労働者」に対し、1年以内ごとに1回、定期に、決められた項目について医師による健康診断を行わなくてはならないとされています。
【雇入時健康診断】労働安全衛生規則第43条では、事業者は、「常時使用する労働者」を雇い入れるときは、当該労働者に対し決められた項目について、医師による健康診断を行わなくてはならないこととなっております。
「常時使用する労働者」に該当するか否かについては、1.期間の定めのない契約か否か、2.所定労働時間数の両面から検討していくことになります。1.の点については、期間の定めのある契約(1年以内)である場合には原則として対象外となります。ただし、期間の定めのある契約(1年以内)であっても1年以上使用の予定であるか、または、1年以上引き続き使用されているものについては、この要件を満たします。2.の点については、同職種労働者の4分の3以上の所定労働時間数があると対象になります。
以上の通り、期間の定めのない契約で同職種労働者の4分の3以上の所定労働時間のある者、または、期間の定めのある契約であっても、1年以上引き続き使用されているか使用されることが予定されている場合で、同職種労働者の4分の3以上の所定労働時間のあるものは「常時使用する労働者」となります。つまり、この要件に該当すれば、たとえ、パートタイマー、アルバイト、嘱託等であったとしても、一般定期健康診断を実施しなくてはなりません。
「常時使用する労働者」に該当しない社員については、会社としては法的には定期健康診断を実施する義務はありませんが、健康管理責任が問われている今日、そのような社員についても、できるだけ定期健康診断を実施すべきものと考えます。なぜなら、たとえ、短期間または短時間の社員であったとしても健康状態が就労によって悪化しないという保障はないこと(健康診断を実施した結果があれば、いざ健康管理責任を問われたときに、有力な証拠となります)、そのような労働者の契約を更新するに当たり、または労働時間を延長する際や、配置転換するにあたっての良い判断材料となること、そして、何よりも、労働者の健康維持につながるからです。