昨今の企業の問題として、メンタルリスクが多く取り上げられます。しかし、健康に関するリスクはメンタルだけではありません。企業における必要な資源は、資金や設備等の経済面だけではなく、それを支えるには人材が必要不可欠です。この人材を確保し、更に個々の労働力を維持し高めることが大切です。そのためにも、健康であることが重要課題になるのではないでしょうか。
健康を害すると、思う様に仕事ができなくなってしまいます。定年後も働きたいと思っても、健康上の理由で仕事を断念する人、生活習慣病による心疾患や脳血管の疾患により、仕事ができなくなったり能力が低下してしまう人、また若年層であってもメンタルヘルス等が理由で仕事ができなくなる人、このように健康を害したことにより、パフォーマンスが低下することは誰でも起こりうることでしょう。人材のパフォーマンスが低下することにより、まわりの従業員に更に負荷がかかり、疲労による集中力の低下を引き起こし、生産性も上がることなくむしろ下がることになりかねません。また、新たな人材を確保する際にも、企業の健康管理や職場の安全性を重視している求職者も少なくありません。従業員の健康を守ることは、企業の業績を守ることにつながります。従業員の健康維持にかかる費用を、コストとして捉えるのではなく、先行投資として取り組むときではないでしょうか。
しかし、大企業でもない限り、産業医や健康管理にかかる専門スタッフを自社で抱えることは難しいことですし、またどのように健康管理をしていくのか等様々な問題もあります。その場合は、各都道府県に設置されている「産業保険推進センター」を有効活用してはいかがでしょうか。この「産業保険推進センター」では産業医のみならず、企業の衛生管理担当者に対して相談窓口や研修制度を実施しています。また、法律上は産業医を選任する義務がない事業所に対しては、地域産業保健センターが、産業医が選任されている事業所と同等の健康管理サービスを受けられるようになっています。
1.長時間労働者への医師による面接指導の相談
2.健康相談窓口の開設
3.個別訪問による産業保険指導の実施
4.産業保険情報の提供
健康管理の重要性は大企業よりも中小企業にあるかもしれません。大企業であれば仮に1人の従業員が長期休職に至ったとしても、補充することは比較的容易にできるかもしれません。しかし、中小企業では個々の従業員が企業に与える影響が大きいため、長期休職に至った場合、他の従業員への負荷の大きさ、そして容易に補充することもできず、会社全体に多大な影響を与えかねません。
人材の確保、労働能力の向上、そして従業員の満足度を高めることが、最終的には企業に大きな利益をもたらし、企業全体が大きく躍進していくことにつながるのではないでしょうか。