本当は労災(業務災害や通勤災害)なのに、健康保険を使ってしまったというのはよく聞くお話しです。ですが、本来健康保険証を使って病院で治療を受けられるのは業務外のケガや病気。労災であるのに健康保険証を使って病院にかかると、本来負担する必要のない医療費を健康保険で負担することになり、健康保険への返金と労災への切り替え手続きが必要になります。その手続きは時間も労力もかかるため、労災が発生し病院にかかる際は、まず労災であることをしっかりと伝えることが肝要です。
それでは誤って健康保険を使ってしまった場合はどうしたら良いのでしょうか。
健康保険から労災保険への切り替えはおおまかに、①病院でできる場合②健康保険の保険者に直接申請する場合の2通りに分かれます。
受診後にすぐに病院へ連絡をすれば、健康保険から労災への切り替えをしてくれる可能性は高いです。労災であったことを告げ、所定の用紙(療養の給付請求書―5号様式、療養の費用請求書―7号様式)を提出します。用紙は弊社にご用意がございますのでご連絡下さい。
受診後、しばらく時間が経ってしまってから切り替えをする場合、病院では手続きができない場合があります。その場合、健康保険協会または各健康保険組合に直接健康保険の取り消しを申請することになります。申請すると病院での診療代の7割部分(3割は既に自己負担しているため)の納付書が届くので健康保険の7割部分を返金します。その後、健康保険10割部分を負担したことを証明する書類が届くので、その書類と労災の申請用紙療養の費用請求書―7号様式)を労働基準監督署に提出すると、後日全額が振り込まれます。
この手続きには数か月の時間を要するため、労災の場合は健康保険証を使わないこと、誤って健康保険を使ってしまった場合は早く切り替えの手続きを進めるようにして下さい。