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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第72号 平成26年11月1日

改正が進む産前産後休業・育児休業期間中の社会保険実務について

平成26年4月より産休中・育休中の社会保険・雇用保険実務について、いくつかの改正がありましたので実務上の留意点を解説いたします。

産休中の社会保険料免除について

平成26年4月までは育児休業期間中は申出により被保険者、事業主分とも健康保険・厚生年金保険の保険料は免除されていましたが、平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了する被保険者については、育児休業期間と同様に産前産後休業期間中につきましても社会保険料が免除されるようになりました。この免除期間は、将来被保険者の年金額を計算する際、保険料を納付した期間として取り扱われます。
保険料の免除を受けるには「産前産後休業取得者申出書」を管轄の年金事務所へ原則として産前産後休業期間中に提出する必要があり、実務上では、この申出書を提出するタイミングに注意する必要があります。以下に2つのケースを例示しますが、ご不明点等はお気軽に弊社へお問い合わせください。

ケース1)出産予定日より前に出産した(予定日11月11日・出産日11月6日)

産休に入ってすぐに申出書を提出したものの、実際の出産が5日早まり出産したとすると、本来、産休開始予定日は10月1日ですが、産前42日は9月26日となり、この早まった期間中に労務に従事しなかった場合は休業開始日を変更することができます。
出産日の変更により産休終了日も1月6日から1月1日に変更されますので、最初に提出した申出書とは別に「産前産後休業取得者変更(終了)届」を産休期間中に提出する必要があります。
当初の申し出では、10月~12月の3ヵ月分が免除期間でしたが、開始日が早まったことにより、9月~12月までの4ヵ月分が免除期間となります。このように産休期間が月をまたいで変更となる場合は、給与計算における社会保険料の徴収事務と併せてご注意ください。

ケース2)出産予定日より後に出産した(予定日11月11日・出産日11月16日)

ケース1と同様に産休に入り申出書を提出し、出産日が5日遅れたとすると、遅れた期間は産前休業として日数がプラスされ開始日は変わりませんが、終了日は1月6日から1月11日へ変更となります。この場合も「産前産後休業取得者変更(終了)届」を産休期間中に提出する必要があります。

出産前に申出をし、出産日が予定日より前後する場合を紹介しましたが、予定日通りの出産の場合は「産前産後休業取得者変更(終了)届」は提出の必要はありません。
以上のように、産休に入り出産前に申出をした場合、手続きが複数発生しますので、出産日が確定した出産後に免除の申出を行う方が手続はシンプルになります。ただし、産休終了日までに手続きの必要があり期間が短くなりますので注意が必要です。どちらの場合も被保険者本人と担当者との連携が大切になってきますので、事前に打合わせ等を入念にしておくのが望ましいでしょう。

産休終了時の標準報酬月額変更

平成26年4月1日以降に産前産後休業が修了となり、標準報酬月額が下がった場合、被保険者の申出により「産前産後休業終了時月額変更届」を管轄の年金事務所へ提出することにより産休終了後の3ヵ月間の報酬額をもとに新しい標準報酬月額が決定され、その翌月から改定となります。ただし、産休終了から引続き育児休業を開始した場合は提出できず、育児休業終了の際に同様の方法で従来よりある「育児休業終了時月額変更届」を提出することになります。

産休開始時の標準報酬月額特例措置

こちらは従前よりある制度で、3歳未満の子を養育する被保険者で養育期間中の標準報酬月額が養育開始月の前月の標準報酬月額を下回る場合、被保険者の申出により「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出することで養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置が受けられます。たとえば、3歳未満の第1子についてこの特例を受けており、第2子の産前休業が始まり保険料免除を開始した時には、この特例措置が終了することになります。
なお、この制度は男性でも利用でき、毎年1回7月に行う算定による標準報酬改定でも等級が下回る際には適用となります。

雇用保険・育児休業給付の支給率引上げ

育児休業給付金の支給額は、今までは休業開始時賃金日額の50%相当額でしたが、平成26年4月1日以降に取得する育児休業から、休業開始後6ヵ月間に限り67%に引きあがります。(6ヵ月以降の支給額は、従来通りの50%になります)

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