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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第72号 平成26年11月1日

寺崎弁護士の法律の窓

川口社労士法人 協力弁護士 寺崎時史氏

Aさんは、トラックを使った貨物運送業を始めようと思っています。しかし、開業資金が足りません。銀行融資を受けようにも過去の経営実績がなく、融資は受けられません。知り合いから、トラックを購入する資金をファイナンス・リースという形で借りればいいと言われました。ファイナンス・リースとは何でしょうか。
Aさんには、開業資金を借り受ける担保がありません。そこで、金融業者Bが、Aさんが購入したいと思ったトラックを代わりにC社から自己名義で購入してAさんに使用させます。AさんがC社のディーラーから自分名義で購入する場合(但し、頭金が必要です。)、ディーラーはカー・ローンが終了するまでトラックの所有権を留保しますが(担保目的です。)、最終的にはAさんが所有権を取得します。これに対し、ファイナンス・リースの場合、金融が目的なのでトラックの所有権はあくまでもBにあって、リース料を払い終わってもAさんに所有権は移転しません。
AB間のリース契約は、その経済的目的が設備投資金融であるという実質を反映していますので、リース期間中にトラックの購入代金・金利・手数料等のおおむね全てを回収することを予定しています。金融目的のリースですから、リース料金という形で融資を受けた資金を完済しなければなりませんから、Aさんに中途解約権はありません。この点、物件の利用に主眼があるリース(オペレーティング・リース)ならば、物の利用の必要性が無くなった場合に解約できるのと異なります(但し解約手数料は取られるでしょうが。)。
また、Aさんがトラックを利用することは、融資に付随するものですから、トラックの修繕・保守義務はAさんが負わされることになります。また、Bは、賃貸借という法形式は取っていても金融が主目的ですので、トラックの滅失・既存の危険負担や瑕疵担保責任も負いません。(ファイナンス・リースの経済的機能については、次回に述べます。)

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