今年の10月から国民全員にマイナンバーが通知されます。そして、来年の1月より、従業員の税、社会保障の手続きについて、会社はこのマイナンバーを使用することになります。従いまして、今年の10月以降、従業員のマイナンバーを会社は収集することになります。ただし、注意が必要です。
マイナンバー制度の詳細についてはまだ決まっていないことが多くあります。しかし、マイナンバー制度には罰則の適用があり、その管理が会社に求められていることから、早めの準備にこしたことはありません。そこで、マイナンバー制度ってなに?と疑問に思われている方、特に小規模事業所に的を絞ってそのポイントをご案内させていただきます。
マイナンバー制度とは、国民一人一人に番号を附番し、この番号を使って各種の行政手続きを行っていくというものです。
これによって、各人の行政手続きが簡素化すること、また、各人の行政記録が正確になり、記録の照会も可能となるのです。
行政手続きというと多岐にわたります。たとえば、住民票の手続きや保育園の入園、粗大ごみの申込みなど様々です。
しかし、マイナンバーが利用できるのは当面、税と社会保障の2つのみです。
マイナンバーが利用される当面の手続き → ①税金 ②社会保障
従いまして、会社としてもこの2つの手続きについてのみマイナンバーを使用することになります。
そこで、マイナンバーについて会社としては、
という行為が必要となります。
マイナンバーは、秘匿性の高い、漏えいに対し罰則付きの個人の情報となります。そこで、その管理について会社は対応が必要となります。その主だったものとして
となります。しかし、これらの対応については、事業所の規模によってちがいます。
小規模事業所においても、いままで年金番号や住民票、運転免許証の写しの取得等個人情報を取り扱ってきたと思います。本人確認一つとっても、目の前にいる人間が本人であることは分かります。従いまして、マイナンバー制度が導入されたからといって、小規模事業所の場合、いままでと違った取扱いをする必要はありません。
企業規模が大きくなるにつれて、漏えいリスクが高まること、管理範囲が広くなりルールの整備が必要なこと、また漏えいに対する社会的責任を問われることから、今まで以上管理体制の整備が必要となります。
しかし、企業規模にかかわらず、小規模事業所においても重要な管理ポイントがあります。それは、個々の従業員に対する教育(案内)です。
従来の年金番号等は、番号カードを紛失してもその再交付手続きを会社が変わって行うことができました。また、再交付したからといって番号が変わることはありません。しかしマイナンバーは、その再交付手続きを自身が市町村で行うことになり、また、再交付すると、番号が変わることがあります。
そうなると、会社は管理されている番号を訂正する必要が出てくるということです。登録手続きのやり直しの必要が出てくる可能性があり、また、従業員からのマイナンバーの再取得に伴い、その漏えいリスクも高まるということです。
従業員教育というと、とかくマイナンバーを管理する等、その取扱い従業員に対しての教育ととらえられています。しかし、最も重要なことは、各従業員個人への教育なのです。
そこで、各従業員への教育(案内)について、現時点で知っていただきたいポイントは2つあります。一つは、マイナンバーは住民票の住所地に送付されるということです。つまり、住民票の住所地と居所が違う場合、事前に住民票を移しておくべきということになります。もう一つは、マイナンバーカードといわれるものが2枚(種類)あるということです。
具体的には、「番号通知カード」と「個人番号カード」になります。
番号通知カードより、個人番号カードの方が、適用範囲が広く、利便性が高いといえます。しかし、個人番号カードは、本人が市町村に申請しないと交付されません。会社としては、本人からどちらを収集されますか?
マイナンバー制度については、まだまだ未決定の部分がたくさんあります。今後、詳細が決まってくると思いますが、まずはこの点について、会社の方針をきめ、従業員に案内する必要があると思います。