今月10日提出期限の算定基礎届の提出はお済みでしょうか。毎年、労働保険の年度更新の提出とも重なり、給与担当者にとっては年末調整と同じくらい1年で忙しい時期を迎えていることと思います。提出を終えればホッと一安心ですが、9月~10月にかけて、算定基礎届の結果を給与へ間違いなく反映するまで、まだまだ気は抜けません。
算定基礎届に限らず、労働保険の年度更新等の資料も各種給与ソフトからデータを作成することができます。データを間違いなく作成するためには、給与項目等の設定が正しくされている必要があります。ソフトから中々欲しいデータが出せないことと届出用紙が複数枚あったり複写式だったりという理由から、給与ソフトでのデータ作成をしていないということもあるかと思います。詳しい設定方法等は別の機会に書きますが、今回は算定基礎届に絞ってデータ作成、作成上の注意点を見ていきます。
どのような給与ソフトであっても、社会保険という項目があります。6月までの給与計算が確定していれば、ここで算定基礎届を選択し集計することによって、ボタン一つでデータを作成することができます。各個人ごとの修正も可能ですので、各種設定の相違によりデータが正しくない場合でもここで修正をすることが可能です。個人ごとの確認が終わり問題なければ、これだけでデータ作成は終了です。後は給与計算を10月(社会保険料当月徴収の事業所は9月)に更新する際に、ソフトが算定結果を反映していいかを聞いてきますので、再度確認をし、問題なければそのまま反映して終了です。
上記のように算定の反映は簡単にできますが、前回のかわら版81号の記事にもありますように、7月・8月・9月の月額変更に該当する方がいる場合に注意が必要です。月額変更の該当者については算定基礎届の対象からは外れ、月額変更届の結果が優先するためです。
具体的には給与ソフト上で月額変更についても算定と同様に給与ソフトの社会保険項目から月額変更届を選択し集計することができます。これを毎月の給与計算確定後にしておくと、該当者がいれば該当月にソフトが結果の反映を聞いてきますので反映することができます。この月額変更をソフトの月額変更項目で行わず、該当月に個人マスタの設定で標準報酬等級を変更し、算定基礎届のデータのみ給与ソフトで作成していた場合、算定の結果がそのまま反映されてしまうため、タイミングによってはマスタ設定した変更が再度更新されてしまう可能性があります。
また、そもそも標準報酬等級の設定はすべて個人マスタで変更しているケースもあるかと思います。もちろん正しく変更していれば結果は同じですが、月額変更との関係もあり変更する際に間違えてしまう可能性は高くなります。
給与ソフトのすべての機能をフルに活用することは中々難しいですが、普段使っていない機能があれば一度お試しいただき、仮にデータがうまく出せない場合は現段階でどこかの設定がずれている可能性が高く、まずはその端緒を発見することから、より効率的かつ正確な給与計算業務へと繋げていただければと思います。