「フレキシキュリティ(flexicurity)」とは、「フレキシビリティ(flexibility):弾力性、柔軟性」と「セキュリティ(security):保障、安全」の合成語です。日本では、まだまだ耳慣れない言葉ではありますが、EUの雇用政策において、重要なキーワードとされています。
今まで労働者の権利や利益などを守るために法律により「保障」が設けられ、「規制」が行われてきました。しかし、こうした「規制」が、企業の労働者活用に足かせとなってしまうこともありました。こういった、いわば企業の硬直性をなくすために、「柔軟性」が求められるようになってきました。
規制を緩和し、企業が労働者を雇用する際のコストが軽減されれば、不況で労働者雇用に二の足を踏んでいた企業側も雇用する事が容易となり、失業対策に有効と言えるでしょう。
欧州では、失業対策として、非正規雇用に対する法規制を緩和し、弾力的な雇用形態を導入し、かつ非正規雇用の保障を充実されることが進められています。
オランダでは、政府がパートタイム労働を促進し、「1.5人稼ぎ」型が増えています。これは、夫のフルタイムの労働時間を短くなり、賃金が下がった分を、妻がパートタイム労働で補うというものです。女性の社会進出、ワーク・ライフ・バランスの実現にもつながります。このオランダ型をさせているのは、非正規雇用に対しても、均等待遇原則により賃金や休暇の労働条件面や社会保障面でも処遇を充実させていることにある、といわれています。
日本では、企業側からの一方的な解雇が制限されているなど「セキュリティ」もありながら、職種や転勤などの労働条件については、労働協約や就業規則に定めがあり企業側は従業員の同意なしにフレキシブルに変更ができる決定する権限を有する等、「フレキシキュリティ」が実現されている面もあります。
今後の失業対策として、より一層の「フレキシキュリティ」が必要とされているかもしれません。