今回は、最近新聞紙上で時折話題に上がっている追い出し部屋についての裁判所判断を取り上げます。「追い出し部屋など大企業の話しでうちには関係ない」と思われている企業の方も多いかと思います。しかし、追い出し部屋問題の本質は「辞めてもらいたい人がいた時にどうするか」という問題です。法的にいうと、退職勧奨の適否ということになります。それでは、追い出し部屋を違法としたベネッセコーポレーション事件をご紹介いたします。
株式会社ベネッセコーポレーションに雇用されている原告は、会社から人財部業務支援センターへの配転命令を受けこれに従ったが、人財部業務支援センターへの配転命令は違法不当なものであり無効であるとして、人財部業務支援センターに勤務する必要がないことの確認を求めた事案。
なお、人財部業務支援センターでは名刺も持たされず、社内就職活動をさせられるほかは,単純労働をさせられたのみであった。
人財部付は実質的な退職勧奨の場となっていた疑いが強く,違法な制度であったといわざるを得ず,権限の裁量の範囲を逸脱した不当なものであり,業務支援センターは,到底人財部の正式な部署といえるような実態ではなく,人財部業務支援センターへの配転命令は,人事権の裁量の範囲を逸脱したものであり,その効力はないと解するのが相当であるとされた。
今回の裁判所の判断では、大きく3つの事実を認定し、総合判断として追い出し部屋を違法としています。具体的には
また、違法としたのは追い出し部屋を違法としたというより、追い出し部屋が違法な退職勧奨で違法としています。
従って、上記3つの事実は退職勧奨の時の注意点として目安になると思います。企業の皆様としては、退職勧奨の必要が生じたときにご参考にしていただければと思います。