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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第66号 平成25年11月1日

寺崎弁護士の法律の窓

川口社労士法人 協力弁護士 寺崎時史氏

Aさんは、工場内勤務をしていましたが、会社から業績不振で工場の稼働率が低下していることを理由に、ルート営業への配転命令をされました。Aさんは営業職をあまり希望していないのですが、それでも営業職に配置転換されなければならないでしょうか。
使用者が労働者に対して一方的に配転を命ずる配転命令が有効かどうかは、次の要件を満たすことが必要です。

  1. 労働契約上、配転命令権の根拠があり、当該配転命令がその配転命令権の範囲内であること。
    就業規則に「業務の都合により配置転換、転勤を命ずることがある」といった包括的な規定があれば、配転命令権の根拠となるとされています。次に、工場内勤務からルート営業職(配達と受注業務)への職種が変更されることについては、資格を必要としない職種、高度な専門性を有しない職種については労働契約上、職種限定の合意は存在しないとされる傾向にあります。Aさんの工場での作業が資格を有するか、専門性の高い仕事であるかどうかによって判断していくことになります。
  2. 法令違反等がないこと。
    Aさんの配転が組合活動の妨害を目的とするような場合、不当労働行為(労働組合法第7条)となり、配転命令は無効となります。
  3. 権利濫用でないこと。
    ①業務上の必要性の有無、②不当な動機・目的の有無、③通常甘受すべき程度を著しく超える不利益の有無という観点から判断されます。

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